頑張りすぎる社長や上司ほど部下を育てるのが難しい理由
2018/01/24
[2017/10/11 メルマガ配信記事:担当 信國大輔]
出典:写真AC
頑張りすぎる社長や上司ほど部下を育てるのが難しい理由
経営者が頑張りすぎると何が弊害なのか?
結論から言うと、経営者が頑張りすぎると、「社員を育てるのが難しくなってしまう」という落とし穴があります。
日々いろんな会社に対して組織コンサルティングをさせていただいておりますが、その中でまずは経営者と個別にミーティングさせていただき今の課題感をお聞かせいただいています。
そして、その課題感で最も多いのが「社員や部下が育たない。」というものです。
そのままその話をじっくりお聞きしていると、「視野が狭い。次の事を考えてない。もっと頭使えばいいのに。」「仕事の仕方がぬるい。もっとガシガシやってほしい。」と、とにかく社員の仕事ぶりへの不満が続き、「あまりにひどすぎて許せなくなり、ついつい厳しく言ってしまう。」という指導をやっていることが分かります。
ただ、経営者もこのような怒りに任せた指導では社員があまり成長しないし、なにより元気が無くなって退職したりしてしまうこともわかっていて、「どうしたものか・・・。」と頭を悩ませていらっしゃる方も少なくありません。
実はこの場合、指導内容そのものよりも、「許せなくなってしまう心理」の方に根っこの課題があります。
なぜ、許せなくなって怒りが湧いてしまうのか?
では、なぜ社員を「許せない!」という気持ちになってしまうのでしょうか。
それは、経営者あるいは上司が頑張りすぎているからです。自分が日頃、我慢して歯を食いしばって頑張っているので、相手が頑張らないこと(頑張っていないように見えること)が、許せなくなるのです。
この心理の奥には、「俺だって我慢して頑張っているんだから、お前もやれよ!!」という想いが眠っているのです。
職場だけでなくこれは家庭内の夫婦でもよくありますよね。
夫「俺だって外で我慢して頑張ってんだからお前もしっかりやれ!」
妻「なによ!私だって頑張ってるわよ!あなたこそもっと頑張りなさいよ!」
こんな具合でしょうか。
このような「我慢して頑張る」という心理は、お互いに我慢を強いるというシステムを循環させ、ますますギスギスした関係を強化していきます。そして、家庭内なら離婚や別居、職場なら離職やうつ病などを生み出していくのです。
では、どうやってこの「我慢して頑張る」という心理状態から抜け出せばいいのでしょうか?
「我慢して頑張る」という心理から抜け出す方法
このギスギスした関係を強化してしまう「我慢して頑張る」という心理。
ここから抜け出すには、つまり「頑張らない」「我慢しない」ということを実践していけば良いのですが、これをより具体的に表現すると次のようなことにトライしていただくことになります。
- 「周りに甘える」
- 「周りを頼る」
- 「周りにわがままを言いてもらう」
- 「周りに迷惑をかける」
- 「周りに弱音を吐く」
- 「周りに一方的にしてもらう」
いかがでしょうか。
我慢して頑張っている人ほどほとんどやったことのない行為ではないでしょうか。
それもそのはず。これらは小さいころに親から禁止されているような行為ですから。特に我慢して頑張っている人ほど、真面目にそれを守っているため、ほとんどこのようなことをやりません。
ところが、実際にこのようなことを実践していくと先ほどの関係性のシステムは驚くほど良い循環を生み出します。
どういうことかというと、このような循環です。
「自分が周りに甘える・頼る・わがままを聞いてもらう」→「自分の気持ちが満たされる」→「周りへの気持ちに余裕ができる(許せる)」→「周りの甘えやわがままも聞きやすくなる」→「周りの気持ちも満たされる」→「ますます自分の甘えやわがままが聞いてもらいやすくなる」
このような循環は、より協調的で信頼関係を育み、あたたかい関係を強化していくのです。
もちろん、このような関係が職場でできれば、最終的には各人の主体的な成長を促し、生産性向上や業績アップに繋がりやすくなります。しかも、社長も社員も気持ち良くそれが実現できるのです。
経営者ほど自分を大切にしてください。
もし、あなたが経営者で(あるいは上司で)、社員の主体的な成長や、より良い関係性を職場・チームで築きたいなら、まず真っ先に目を向けることは、「自分自身をもっと大切にすること」です。
我慢して頑張るのではなく、ぜひ自分の気持ちを大切にしてみてください。
スポーツでも旅行でも、あなたが好きなことをやる時間をぜひ確保してください。気が進まないことがあるなら、自分で抱えずに周りに頼って甘えてください。嫌なことや腹立たしいことがあったなら、弱音や愚痴を信頼できる身近な人に聞いてもらってください。
もっとあなた自身があなたのわがままを聞いてそれを実行してあげてください。多少周りに迷惑かけてもかまいませんよ。なにせあなたは、世の中に求められるサービスを提供する仕組みを作り、雇用を生み出して経済を循環させている“偉大な経営者”なのですから。
まずはいかに自分が素晴らしい存在であるかを自分自身で認めて欲しい。経営者にこそ、それをして欲しい。多くの経営者をご支援させていただくときに、いつも最初に強く想うことはこのようなことです。
まずはそこから組織づくりの全てが始まります。僕はそう確信しています。