「努力を認めて欲しい」という言葉はなぜ出るのか
2018/05/30
[2018/5/30 メルマガ配信記事:担当 森川圭]
出典:写真AC
こんにちは。びりかん組織コンサルタントの森川です。
社長やマネージャの方で、社員を指導している中で社員から「努力を認めて欲しい」のようなと言われて面食らったことはないでしょうか。私自身、同様の言葉を言われたこともありますし、恥ずかしながら自分で言ったこともあります。
言われた時(指導する側)は、「何言ってんだ、こいつ、満足に仕事もできないくせに」と思いましたし、言った時(指導される側)は「指導が意味不明!こっちだって一生懸命やってんねん!」と思っていたような覚えがあります。
こういった言葉が出る背景には、「説明不足・理解不足」や「合意形成不足」であったり、「指導される側のプロ意識の欠如(甘え)」が原因であったりします。
今回はそんな「努力を認めて欲しい」のような言葉を言う社員に対して、どのようにアプローチすべきかをお伝えしたいと思います。
「努力を認めて欲しい」という言葉の背景は?
この言葉が出るには当然ですが、社員がそう思うに至った背景があります。
この言葉が出るということは、
- 求められる結果にはまだ達していないが、努力を認めて欲しい
- 目標が不明確または高すぎる中、頑張ってるから認めて欲しい
- たとえ結果が出なくても努力してたらそれでOKとして欲しい
のような意味があると考えられます。
それぞれの場合によって対応方法が変わってきますから、まずは社員から言葉の真意を確かめることが先決です。
「1.求められる結果にはまだ達していないが、努力を認めて欲しい」の場合
このような背景がある場合は、社員は認められてないと感じていることが原因です。
指導する側としてはついつい、「一人前になるまでは努力するのは当然、努力を認める必要なんてない」「自分から見てとてもレベルが低く感じるので褒めようがない」という意識で接しがちです。
結果、社員の立場からすると、「ダメ出しばかりで、認められることはない」と感じてしまっている可能性が高いです。これではどんなに指導しても指導そのものが水の泡になります。
面倒ですが、「結果を出すための努力」を認めてあげたり、社員自身に自分の良かったところ、成長したところを聞き、それらを受け入れてあげることが必要になります。
その上で「結果を出すためにはもっとこうした方がいい」と伝えると、「ダメ出しばかり…」という感覚が軽減されます。
「2.目標が不明確または高すぎる中、頑張ってるから認めて欲しい」の場合
このような背景には、目標設定のミスマッチが生じていると考えられます。
目標が不明確というのはつまり、合意形成ができていないということ。
たとえば「営業スキルをアップする」というのは、目標として漠然としすぎています。「一人でお客様にアポ取りして、少なくとも2割以上の成約率を出す」など、目標の明確化が必要です。
また、目標が高すぎる場合、たとえば、「まずは一人でお客様にアポ取りができるようになる」など目標の細分化が必要です。
これはいわゆるキャリアパスの考え方ですが、会社は社員に対してこういう成長モデルを期待していることを明確化すると、社員側にとっても「自分がどう成長したら良いのか」が分かりやすく効果的です。
こういったものを作るのは面倒ですが、指導する側の負担も軽減できるので、簡単なものでも用意するのはオススメです。
※キャリアパス
1~2年目の社員にはこういう技術や役割を求めている、3~5年目ではこういう技術や役割など、社員のキャリア形成をモデル化したもの。
例)
https://www.azn.co.jp/Portals/0/resources/recruit/message/policy.html
「3.たとえ結果が出なくても努力してたらそれでOKとして欲しい」の場合
これが一番やっかいで、しかしこう思っている社員は確かに存在します。様するに「社員のプロ意識の欠如」ですが、会社側としてはたまったもんじゃありません。
このギャップを埋めるのはなかなか骨が折れますが、重要なポイントは「会社は結果を求めている」ことを明確にすることです。ここを曖昧にすると、この手の社員は自分に都合のいいように解釈して、できるだけ楽をしようとします。
そのために「会社は結果を求めていること」を繰り返し伝えるのも重要ですが、先に上げた「キャリアパス」のようなものを提示して、視覚化する方が早いかもしれません。というのも口頭ならば社員が都合よく解釈できるものも、視覚化された場合はそうもいかないからです。
自分に甘い社員は周囲への悪影響もありますから、甘えを助長させる要素はなるべく排除する方が会社のためです。
以上、それぞれ参考になれば幸いです。