COO代行信國大輔のCOO代行実践録

支援実績100社以上、上場成功実績3社、ベンチャー・中小企業専門のCOO代行が、事業推進や組織体制構築、新規事業企画、プロジェクトマネジメント、新規採用のコツ、社員のモチベーションアップ、マネージャ育成・チームビルディングなどあらゆる経営課題の実践的な企業経営ノウハウを解説。

問題解決の場から、ありたい状態の実現の場へ~会社会議の質向上の秘訣

      2017/12/30

会議の質の向上

 

[2017/10/18 メルマガ配信記事:担当 藤川瑞木]

出典:写真AC

 

以前、「会議の質向上の秘訣」をテーマに、「会議の質は日頃の関係の質が左右する」という話題を取り上げました。

今回は「会議の目的の捉え方」の観点から、引き続き「会議の質向上」について考えていきたいと思います。

 

会議をするのは何のため?

 

中小企業の経営者・リーダー向けに実施した「会議の質向上研修」の中で、このような質問をいたしました。

「会議をするのは何のためですか?」

参加者のみなさんから出たご意見は、「情報共有のため」「根回しのため」「何かを決めるため」「議論するため」「意見収集のため」などなど。

様々な「会議を行うシチュエーション」が存在する中で、会議の種類を整理すると、

  • 「報告・共有」
  • 「検討」
  • 「結論(を出す)」

の3つに大別できるのではないかと思います。

ただし、ビジネスの場において、「何にも活用されない議論や情報共有」は不要なはずです。ということは、最終的には何らかの結論を出す必要があり、その前段階で情報共有や検討をしているということでしょう。

「この会議の種類は何で、何のためにしているのか」「この会議を含めたプロセス全体はどう進んでいくのか」こういったことを検討しないままとりあえず人を集めたために、話があちこち脱線したり、参加者によって前提知識や温度感に大きな差があったり…。そんな経験、みなさんもお持ちなのではないでしょうか。

「事前に全参加者に会議の種類と目的を周知しておく」

これはシンプルで基本的な会議のテクニックの一つですが、ここからは会議の目的に対する、「『問題解決をするため』という意識」について深堀りしていきたいと思います。

 

会議の種類・状況

 

 

「問題解決をする」ということは…

 

研修内での、「会議をするのは何のためですか?」という問いに対し、「何かを決めるため」と同じくらい多かった主流のご意見に、「問題解決をするため」というものがありました。

「ビジネスは問題解決の連続だ」という表現はよく耳にしますし、実際にみなさんそれぞれの現場でお仕事をされていると、日々何らかの問題が発生し、自分でそれを解決したり、誰かに相談したり、人を集めて会議をしたり…、といった場面が多々あるかと思います。

ここで、大変初歩的なお話になり恐縮なのですが、「ビジネスにおける問題解決とは」の辞書的な意味を改めて確認すると、「問題」とは、「現状」と「あるべき状態(目標)」のギャップであり、「問題解決」とは、「現状」と「あるべき状態(目標)」のギャップを埋めること、と定義されています。

その定義に沿うならば、例えば売上の年度目標に対しては、ほとんどの場合年度末までは常に「問題がある」ということになります。

「ビジネスは問題解決の連続」であり、会議をするのは「問題解決をする」ためだということは、「そこには常に問題がある」という前提意識があるということになりそうです。

それはつまり、物事を、事業状況を、自社を、そして社員を、常に「問題がある」というフィルターで見ているということです。「問題がある」というフィルターを通して会社や社員を見た場合、あなたの目には一体何が映るでしょうか?

 

問題と問題解決(ロジカルシンキング)

 

 

ちょっとだけ、飛行機のお話

 

少し話は変わるのですが、飛行機を飛ばす際には、事前に「フライトプラン(飛行計画)」というものを提出し、承認を得る必要があります。

そのフライトプランには「飛行ルート」の計画が含まれるのですが、飛行機が実際に飛行したルートと、離陸前に計画したルートを見比べた場合、どのくらい計画したルート通りに飛んでいるものだと思いますか?…ご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください!(笑)

突然ふざけてすみません。今回この話題を書くに当たりかなりソースを探したのですが見つけられず、いつの時点のどのような数値なのか詳細はわからないのですが、「航空機が計画航路通りのルートを飛ぶのは3割程度」なのだと伺ったことがあります。

その数値の正しさは置いておいて、急な悪天候のために経由地を変更したケースや、目的地に着陸できず出航地に引き返したケースなど、みなさん1度はお聞になったことがあるのではないでしょうか。

そもそも目的地に到着していないケースだと困ってしまいますが、わたしたちが気づかない範囲での飛行中のルートや高度の変更は日常的に行われているのだろうと想像できます。

仕事の目的地

出典:写真AC

 

さて、みなさんが飛行機に乗る目的は何ですか?

飛行機に当初計画通りのルートを飛んでもらうことですか?

もちろん違いますよね。

「安全に定時に目的地に到着すること」だと思います。

では、あなたが会社で会議をする目的は?

 

問題解決の場から、ありたい状態の実現の場へ

 

「問題解決」は、往々にして「当初計画と現状の乖離」に対して行われます。これは、「どのような条件の変化があろうとも計画通りのルートを飛ぶ」ことに似ているかもしれません。

環境変化のスピードが速い昨今のビジネスシーンにおいて、3ヶ月前、半年前、何なら1年近く前に立てた「目的達成へのルート」は、果たして最適なのでしょうか?

そもそも3ヶ月前、半年前、1年近く前に決めた「目的地」は、いまこの瞬間も目指し続けたい場所なのでしょうか?仮に「目的地」自体はぶれないとしても、「問題」はその問題を抽出した瞬間から過去のものになります。

出発地点を常に「いまここ」に置き、自身や自社が「本当にたどり着きたい目的地」を再確認し、社員を「目的地に一緒にたどり着きたい仲間」として捉えてみた時、あなたが会議で発する空気や言葉が変わり、あなたの会社の会議の質が変わります。

もちろん、問題解決も必要です。

ただもしも、あなたの会社の会議を活気に溢れたものにし、社員が目を輝かせて意見を交わすような議論がしたければ、今回ご紹介した、「問題解決の場から、ありたい状態の実現の場へ」という航路変更も、是非一度お試しください。

 

関連記事

「会議の質向上の秘訣」シリーズ、第1回記事(会議が変われば会社が変わる!~会議の質向上の秘訣)

中小企業の会議で社員が意見を出しやすいようにする進行方法とは?

 

事業推進・COO代行サービス

 - 一歩先を行く経営人事のあり方【会議の質の向上】, 一歩先行く経営人事のあり方・次世代型会社組織運営, [執筆者]藤川瑞木 , , , ,