COO代行信國大輔のCOO代行実践録

支援実績100社以上、上場成功実績3社、ベンチャー・中小企業専門のCOO代行が、事業推進や組織体制構築、新規事業企画、プロジェクトマネジメント、新規採用のコツ、社員のモチベーションアップ、マネージャ育成・チームビルディングなどあらゆる経営課題の実践的な企業経営ノウハウを解説。

指示も評価も管理も不要な次世代型の会社組織。社長も社員も自由に幸せに働ける会社を目指して。

      2017/11/09

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私が経営している株式会社びりかんでは、社長も社員もみんな幸せに働ける次世代型の組織を目指して様々なことに取り組んでいます。

今日はそのご紹介をしたいと思います。

働く場所と時間は自由。働きたい時だけ働く

毎日の満員電車通勤は、働く人のストレスの中でもTOP3に入る要因だそうです。

「そもそも自分でちゃんと自己管理することさえできれば、わざわざ満員電車で通勤して無理やり時間を合わせて出社する必要ないのではないか?」

そのような想いから、当社では自分にとって心地よい好きな場所で好きな時間に働くことにしています。

時間や場所の縛りがないので、効率良く必要な分の仕事さえできれば、あとは休暇を週に3日以上取っても、家族でお出かけしても、地域のボランティアに参加してもOK、それぞれの自由です。

極力各自の自由を阻害しないため、社内全員で集まるミーティングはわずか月1回。それ以外のほとんどはLINEやFacebook・Skypeなどを上手く使ってやりとりし、どうしても必要な時だけ、必要な人だけが集まって対面のミーティングを行います。

通勤時間をはじめ、週報・月報などの作成時間、それを報告するための会議時間、いまいち業務に集中できない時間など、そういう時間を極力減らすことで、極めて生産性の高い働き方を実現しており、社員によっては月2〜3日の稼働で通常のサラリーマンレベルの報酬を得ている者もいます。

全ての収支が全員フルオープン。給与は自分で決める

当社では全ての収支が全員にフルオープンです。各自の給与・役員報酬はもちろん、経費やそれ以外の細かい支出も全て共有しています。また、評価制度というものが存在せず、明確な上司も存在しません。給与は収支を見て自分で決めます。

売上が発生した場合は、それに関わったスタッフで話し合ってそれぞれの取り分を決めます。例えば100万円の売上が上がった場合に、マーケティング担当10万、営業30万、コンサルタント60万といった具合です。

それぞれの取り分から4割を会社への運営費に回すというシンプルなルールがあります。そのようなカタチで各案件からの各自の売上を決めて集計し、そこから自分の給与をいくらにするかを自分で設定します。

売上が上がってもすぐ給与にせずプールしておくことも可能なので、ある程度消化するまで休みを増やしてゆっくりした生活を楽しんでもいいですし、更に上を目指して売上を増やしてもかまいません。その人のペースに合わせて選択が可能です。もちろん、会社側で売上目標を強制するようなことはありません。

赤字の場合はしばらく会社が補填します。あまりに赤字が長期化した場合は、自己申告で一旦減給することもあります。

やりたいことをやる。やりたくないことはやらない

根幹にあるびりかんのもっとも大切な思想は「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない。」です。ある意味これが一番大事で、これから派生して全てのルールが作られていると言っても過言ではないかもしれません。

よって、びりかんには命令がありません。社長ですら命令はできません。やりたいことは各自が自分で決めます。

社内では常に「やりたいか?やりたくないか?」を確認されます。特に重要なのは、やりたくないことをやらないことかもしれません。びりかんではわがままが許されます。

例えば、マーケティング担当者が、「自分はマーケ担当だけど、今回のメルマガ配信作業はなんとなくやる気がしない。」と言えば、「そうか、やりたくないのだったら仕方がない。」ということで、誰か他に対応できる人の立候補を募ります。

もし社内の誰もがその業務をやりたがらなかったとしたら、外部パートナーに依頼するか、その業務が必要な仕事を断ることすらあります。もちろん、仕事を断れば断るほど自分の売上取り分に影響しますが、だからこそわがままも許されます。

結果、会社や上司が管理しなくても、それぞれがやりたいことしかやっていないため、全員がほとんどの仕事に対してモチベーションが最初から高く、また自然とそれを維持しやすい状態になっています。

自分の強み弱みに合わせて適材適所

「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない。」を徹底した結果そうなったのですが、各自がやりたがることのほとんどはその人の強みであるケースが多く、また逆にやりたがらないことと言うのは、その人の弱点や苦手なことである場合がほとんどです。

例えば、「対人関係が得意でタスク管理が苦手な人間」は窓口や打ち合わせ対応などを好みますし、「作業系が得意でコミュニケーションが苦手な人間」は裏方の作業を好みます。

結果として、自分の得意・強みを活かしてそこに集中し、弱い部分はそれが強い人に助けてもらうという相互互助のような関係が形成されました。それぞれが、「わがままを聞いてもらって、弱い部分は周りにカバーしてもらっている」という認識を持っているため、お互いに感謝が生まれ、気持ちの良いチームワークを発揮しています。

言葉にするとしたら、「俺も我慢しているのだから、お前も我慢してやれよ」という関係ではなく、「僕も迷惑かけているのだから、君も遠慮せず頼ってくれていいよ。」という感じでしょうか。

そんなことをしたら業務が偏ってしまうのでは・・・と思われるでしょうか、実際には人それぞれ個性が違うので、まるでパズルのピースのようにチーム全体では偏らず全ての業務をうまく対応できています。もしかしたら人の個性・多様性というのは、お互いに助け合って感謝し合うためにあるのかもしれませんね。

絶対のルールはない。常に対話する。探求する。

「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない。」というのとリンクしますが、びりかんで実施されているほとんどのルールは絶対ではなく、どちらかというとルールというよりはガイドラインに近いです。

例えば、唯一社員全員が集まる月1回のミーティングも、個人的な理由(例:家族旅行に行く)で休む人もいます。僕らはルールを守るための努力をあまりしません。もし、みんなが守らずに形骸化したルールがあったとしたら、それはルールを見直したほうがいいと考えています。ですから、僕らのルールは常に変化し続けています。

また、誰かが「これはやりたくない。こうしたい。」と言い出したらみんなで対話して、より良い道を模索します。それがどんなに会社の根幹を揺らすような提案であっても、まずは対話します。そうすることで新たな気づきが生まれます。

ちなみに今までの爆弾発言だと、「なんか社長のために僕ら働いている気がします。会社の取り分をもっと低くしてほしい。」と社員に言われたことがあり、正直当時はこちらも苛立ちを覚えましたが、それでも対話を根気よく続け、お互いに納得できる給与ルールを創り上げました。そしてこのルールは今現在も進化し続けています。

このような取り組みは面倒な部分もあるのですが、しかしそのおかげで不平不満がほとんどなくなり、みんながほぼ全てのことに対して共感・納得感を持てています。

気の合う仲間であることを大切に。「公私調和」

気が合わない人や嫌いな人でも職場なのだから我慢して付き合う・・・というような会社は多いのですが、「職場の人間関係」はこれも働く人のストレスの大きな要因になります。

なので、僕らは仲間を増やす時、どちらかというとその人のスキルなどよりも、お互いに気の合う仲間になれるかどうかで選択しています。一方的に採用面接という感じではなく、入社したい人がいたら、しばらく社内のミーティングに来てもらったり、一緒に遊んだり夢を語り合ったりして、居心地が良い人だけがそのまま残ります。

また「公私混同」ではなく「公私調和」という前向きな造語を作り、公私の垣根を超えた対話もよくします。悩んでいる仲間がいたら、恋愛や親族との揉め事についてもみんなで相談に乗ります。下手をすると自分たちの家族以上に深い話をすることも珍しくありません。

Google社が「プロジェクト・アリストテレス」という生産性向上計画における調査で、パフォーマンスが高いチームの要因は「チーム内の心理的安全性が高いこと」という結果を発表しましたが、まさにそのようなことを設立当初からやっていました。

実際に結果として、各人のパフォーマンスは高まっているように思います。というのも、結局「公私混同するな」ということで個人的な悩みを無視したところで、深い悩みを抱えた人はどうしても仕事に影響してきます。

さらに僕らが抱える個人的問題は、だいたいが恋愛や家族関係・仕事上の悩み・・・と、とても良く似ています。であれば、プライベートの悩みについてもみんなで助け合った方が遥かに効果的だからだと思います。

新しい働き方に興味がある方はいつでもご連絡ください

このような働き方をかれこれ7,8年ほどやっており、いろいろと途中大変なこともありましたが、おかげさまで規模は小さいながらも社長も社員も楽しく自由に幸せに働ける環境を実現できています。

そして現在は「こういう働き方を他の企業にも導入できればもっともっと幸せに働ける人が増えるのではないか?」という想いからこの手法をもっと広めていきたいと考えています。

この働き方を多くの会社が取り入れると、鬱病や過労死はもちろん、地方過疎化や待機児童増加など、様々な社会問題もかなり解決しやすくなると思いますので、1社でも多く増やせればと願っています。

キング牧師の「I Have A Dream(私には夢がある)」ではないですが、いつの日か、各家庭のお父さんお母さんが当たり前のように毎日子供の送り迎えや家族団らんの食事ができて、多くの人が好きな時に自由に旅行ができ、もっと安価な自分好みの地域に住んで、地元の採れたてで安全な野菜や果物が食べられて、自然の雄大さも都会の利便性も両方楽しめて、職場でも気の合う仲の良い面子と仕事できて、情熱もやりがいもあって、たまに宴のようにみんなで楽しく盛り上がったりして・・・全ての人に、そんな仕事もプライベートもただただ幸せな毎日を送れる日々が続く・・・そんなことを夢見ています。

もし、当社の働き方にご興味ございましたらいつでも気軽にご連絡ください。働き方改革のご支援・取材・講演依頼など喜んでお受けいたします。

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