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中堅・中小企業における社員同士の効果的な「役割分担・業務分担」と注意点

      2017/12/30

■役割分担は本当に必要?

社員から「うちの会社は役割分担はハッキリしていない」「自分の役割は何なのか?」といった声が聞こえてきたときには注意が必要です。

こういった声が出てくるのは「役割がはっきりしてない⇒どこからどこまでが自分の業務なのか?」つまり、自分の仕事の線引きをしたい気持ちが強くなっているときに出てきます。

しかし、組織としていい仕事が出来ているときというのは、お互いの業務と業務の業間を埋め合っているようなときです。組織の仕事というのは、”のりしろ”互いに分担して、くっつけあっていかないと上手くいきません。それに対して「とにかく線だけハッキリして欲しい」「この線の内側だけが自分の責任範囲で、それ以外のところで何が起こっても自分のせいではない」「怒らないでほしい」といった思考パタンに陥っていしまっていると、それ自体が問題なのです。

一方で、全く役割分担の曖昧でいいのかというと、そうもいきません。サッカーで例えるなら、誰がゴールキーパーで、誰がフォワード(FW)なのか、それすらも決っていないとカオス(混沌)過ぎてやりにくくなります。基本的なフォーメーションがあって、主に守備をする、チームの後ろ側にいるディフェンダー(DF)、攻撃を主に担うFW、そういう基本的な役割は必要になります。

実際に、「俺はFWだから、一切守備をしない」という選手や「俺はDFだから点を取られなければそれでいい」という選手だらけではなかなか勝てません。試合の流れ、チームの状況に応じて、FWでも守備をする、DFでも攻撃に参加する、そういうチームが強いチームなわけです。

「役割分担を定義すれば上手く行く」という思い込みがあったりしますが、「とにかくFWは攻撃だけすればいいんですよね?」といった、自分の役割範囲を狭めるような気持ちから役割分担をしていっても上手くいきません。

組織が大きくなっていて、仕事の複雑性も増してくると「役割分担をちゃんと定義しましょう」というプロセスが起こってきますが、それによって組織の官僚化・硬直化が進んでいってしまう面があるのです。組織として有機的に繋がって、柔軟に連動していけるようなマインドを高めていくようなサポートもしていくことが重要なのです。

役割分担

■その役割分担、お客様のためになってますか?

役割分担を定義していくときには、お客様から見て「やって欲しい業務フロー」を大事にしていく必要があります。ややもすると、内部の理屈だけで役割分担をしていってしまいますが(もちろん利益がしっかりでるような効率的な業務で在る必要もありますが)、ビジネスの設計は、基本はお客様視点から設計した方が良いものです。

一方で、お客様のための業務に関わっている色んな人たちがいるのが組織ですが、「本当に適材適所でやれているか?」ということをあまり気にしていないケースが多いものです。「仕事なんだから頑張れ」という感じです。「細かいのが得意な人」「コミュニケーションが得意な人」みたいなのを無視して役割で区切って仕事を与えてしまいます。

しかし【鳥に速く走る業務を担当させ、魚に大局から観察する業務を担当させ、ライオンに長い距離を泳ぐ業務を担当させる】というようなことが、効果的なはずはありません。人には個性があり、その個性を生かした役割分担を考慮すべきです。(個性についての研究・提言については「さあ才能に目覚めよう」などを参照ください)

中堅・中小企業では、人材が限られていますから、なおさら適性を生かした役割分担をして、適材適所を推進した方が組織力が上がり、組織全体のパフォーマンスがあがります。ここは相当考えて頂きたいところです。

自分たちの強みを持ち寄って、それぞれにお客様に対して役割を担っていくことが大切になりますが「では、社内で誰一人、得意でない業務があったらどうするのか?」という疑問もわいてくるかと思います。例えば、クレーム対応業務。これは誰一人として得意じゃない、といったケースですね。

まず前提は「お客様にとって必要な業務か?」ということです。お客様にとっては大切な業務で、社内で誰もやりたくない、適材がいない、まず、その状況自体を、全体で認識することが重要です。「いいからやれ」「仕事なんだから文句言わずにやれ」では、担当した人間は、質の高い仕事をなかなかできません。

例えば子供達が、サッカーで遊ぶ。で、どうしてもGKが必要だけど、誰もやりたくない。そういう時は、自分たちでルールを考えていきますよね。「じゃー、GKは5分づつで交代する?」「今日はじゃんけん負けた奴がやるけど、明日はまたじゃんけんして決めよう」とか。そうやってみんなが納得して、動ける状態を作っていくわけです。

後述しますが、このプロセスが、役割分担を効果的に進めていく上で、とても重要になるのです。

■どうやって「質の高い役割分担」を生み出していくか?

まずやるべきことは「みんなで」全体像を確認する場を持つということです。
社員数が20名程度であれば、本当に全社員でやっていってもいいでしょう。

社員数が30名を超えてくると、全社員での会議は難易度が上がってきますので部署ごとの部長たち+次世代リーダーたちくらいで集まってやるというのもお勧めです。

そして「お客様に価値提供するのに必要な流れ、の全体」をみんなで可視化して、理解します。その上で、欠けている役割や、重複している役割について、みんなで議論しながら合意して進めていきます。

ここで、よく起こる問題としては「忙しいから、その部分は引き受けたくない・・・」という隠れた気持ちです。この気持ちを隠しながら、正論っぽいものを振りかざして議論を進めていくと、たちの悪い喧嘩のようになってしまいます。

それを防ぐためには「まず、お客様にとって最善の業務をゼロベースで整理する。業務量も整理して、再度、できるだけ公正に役割分担を整理していく」ということを最初に宣言し、それを言い続けることが重要です。

あくまで高めるべきなのは「お客様の提供価値」ですから、それを最大化することを考えます。それを大事にしていくと、おのずと部署の利害を超えた優先順位が見えてきて、捨てるべき業務は捨てるといったこともスムースにできるようになります。(このあたりの会議の進め方は、細かいノウハウがあり、感情面も含めていかに納得を生み出していくかということになります。「会議を進める力=ファシリテーション能力」が必要になりますが、ファシリテーション能力は「学習する組織(ピーター・センゲ著)」や「ファシリテーター完全教本(ロジャー・シュワーツ著)」、手前味噌ですが弊社講座「社長のための組織マネジメント講座」などで学ぶことができます。)

また、こういった全体会議の場は、一度やればもうずっとやらなくていいというものではなくて、ある程度の頻度で開催され続けるべきものです。サッカーの例えばいけば、前半30分で1-0と先制した。2点目を取りに行くのか?もう全員で守るのか?後半20分のところで2-0になった。残り25分は守りに徹するのか?3点目を取りに行くのか?そういった意識の統一は「随時」必要になってくるわけです。これは会社組織でも同じことです。

■役割分担を進める上で大切になるポイント

役割分担を進めていって、ある特定の業務について「この人しから知らない」という状態になることがあります。いわゆる「属人的」になっている状態です。

属人的であることにはメリット・デメリットの両面があります。
メリット:専門性が高まる、効率・単価がアップする
デメリット:担当者は休めない、退職してしまうと会社的に致命的

メリットもあるものですから、一概には悪いとは言えません。中堅・中小企業では特に「ある業務を、一人ではなく、二人ができるようになる」というのは大変な”重複=無駄”になるという面もありますから、慎重に進めていく必要があります。

しかし、”重複=無駄=のりしろ”を持つことは社員にとっても、お客様にとっても価値がある面もあります。誰かがバックアップしてくれるので長期休暇が取りやすい、お客様からすれば担当者がなんらかの理由で仕事ができない状態になっても他の人間が担当してくれる、といったメリットがあります。

このメリット・デメリットを両面理解して「自分たちの会社の、今の状況にあった”最善ののりしろの持ち方は?”ということを、自分たちで考え、生み出していくと、素晴らしい役割分担が出来ていくようになります。

また、マニュアル化を進めて属人化を緩和していくという方法もありますが、これも「マニュアル作成」という業務が短期的には増えますし、実際にマニュアルを作っただけでは伝わりきらないところもありますので、その点も注意しながら進めていくことが肝要です。

■評価制度との整合性

役割分担の基本を定義しつつも、「状況に応じて、他を助ける」ということも大切になるわけですが、この二つの観点が(自分の役割を全うする/他者の役割を助ける)両方とも評価されるような評価制度になっていないと、よい役割分担・チームワークを生み出せません。

FWの本分として「点を取った」ということは当然評価するべきですが、「守備にも走り回っていた」ということも評価する。DFから見ても「あいつの、前線からの守備はとても良かった」と言われるような守備もしていた、そういう面も評価していく必要があります。

FWは取った点数だけで評価する、DFは失点数だけで評価する、では質の高いチームワークがある会社組織になっていきません。評価制度についての細かいところは別稿をご覧いただければと思います。

「役割分担」を上手く進めていくには、全体の意識の統一、メリット・デメリットの認識、随時の意識合わせ、お客様視点での整理、評価制度との整合性、こういった観点に注意しながら進めていって頂ければと思います。

全体の意識の統一とは、いわば社長自身が望んでいる”社長像”と、自社のビジネスモデルと、組織のあり方は整合性が取れている必要があるということです。整合性が取れていないと何が起こるのか、どのようにして整合性を高めていくかについて学ぶ必要があります。ご興味ある方は「こちらのページ」を参照ください。

 

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 - 中堅・中小企業における【役割分担・チームワークの向上】, [執筆者]石川英明 , , , , , ,