COO代行信國大輔のCOO代行実践録

支援実績100社以上、上場成功実績3社、ベンチャー・中小企業専門のCOO代行が、事業推進や組織体制構築、新規事業企画、プロジェクトマネジメント、新規採用のコツ、社員のモチベーションアップ、マネージャ育成・チームビルディングなどあらゆる経営課題の実践的な企業経営ノウハウを解説。

びりかん式経営その3:個人ビジョンから始める

      2017/05/10

PAK77_sumahodetel20140823111801_TP_V

びりかん式経営では、社長も含めた、社員一人一人の「個人ビジョン」を描くことから経営が始まります。

多くの企業では「会社としての売上・利益目標」がまず決められ、次に「各部署のノルマ」が決められ、そして「社員一人一人のノルマ」が決まっていくというスタイルが採用されているかと思います。

しかし、このプロセスはどうしても「押しつけられた目標」となり「やらされ感」を生じさせ「受身的姿勢」を強めてしまいます。

びりかん式経営では、社員一人一人が「どんな人生を実現したいか?」という個人ビジョンを描くところから始まります。

一人一人の社員が「年に2回は海外旅行に行きたい」「年収は800万円以上欲しい」「仕事内容としては、営業に専念しているのがよい」といったことを描いていきます。そして、本人が「うん!これはホントに実現したい!」と思えるものであることをとても大切にします。

そして「自分が理想とする一週間はどのようなものか?」という具体的なものに落とし込んでいきます。そうすると「週休3日で、月収40万円にするには、毎週4日間の稼働で10万円の利益を出すようにしないといけない」といったことが可視化されていきます。

「うん!これを実現したい!」という本物の気持ち(モチベーション)が湧き、「この実現のためなら頑張りたい!」と一人一人が本当に思える状態を作ることが肝要です。

やりたいことをやる。やりたくないことはやらない。

さて、全社員の個人ビジョンを持ち寄ると例えば、コンサルタント職のAさんは「月に4件の案件をやっている状態」が望ましく、営業職のBさんは「Aさんに月6件やってもらっている状態」が望ましい、などといったことが起こります。

こういった場合Aさんにとっては「月6件の仕事をする」ということは「やりたくないこと」です。忙しいのは嫌だとか、そこまで給料が欲しいわけじゃないとか、理由は何であれ、当人が「やりたくない」のであれば、それを尊重します。

一方で、営業職のBさんからすると、Aさんに月6件の仕事をしてもらわないと、自分の希望の年収に届かない。これはこれで困ったことです。こうした場合には「Aさんを口説き落として、6件やる素晴らしさに共感してもらう」とか「単価を上げてAさんが4件しかやらない状態でも希望年収に届くようにする」とか「Aさんの
コンサルティング以外の売り物を探してきて、それを売る」とかってことを考えるようにします。

なお、びりかん式経営では副業(複業)もOKなので、「自社以外の収入で、希望年収に届くようにする」ということも選択肢になります。

本人がやりたいこと、例えば「月収50万円になりたい」ということが、本人がやりたいことであれば、それはやればよいことです。一方で「やりたくないこと」はやらなくてよい。このシンプルな原則を大切にしています。

給料も働く場所も、働く量も自分で決める

つまり、自分の年収をどれくらいにするのか。どれくらいの単価にして、どれくらいの時間働くのか。その場所は、どこにするのか。これらを、一人一人の社員がすべて自分で決めていきます。

そして仕事のほとんどはチームでやっていきますので、チームメンバーが出来るだけ納得のいくように対話しながら決めていきます。

また「週3日の仕事で月収60万円でいたい」ということも、個人で決めますから、必然的に時給というか、生産性みたいなものも自分で決めることになります。

週3日、月で12日の稼働で月収60万ということで、日給5万円ということです。この金額を最終的に決めるのは「お客様」です。(チーム内の分配方法については後述します)

お客様が「あなたの1日に5万円払う価値がある」と思っていれば日給5万円になりますし、「あなたの1日に払うとしたら1万円が妥当なところです」となれば、本人が希望しようと日給5万円にはなりません。そういう意味で、びりかん式経営は徹底した顧客志向とも言えます。

こういった「自分はお客様からどれだけいただける実力があるか」ということも理解したうえで、自分の時給を高めるように勉強をしたり、トレーニングをしたりするのも含めて「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない」であり「給料も働く場所も時間も自分で決める」であるということです。

 - 社員も社長も幸せな次世代組織(セムコスタイル、ホラクラシー、サーバントリーダーシップ、ネットワーク型、ノマド)