びりかん式経営その3:個人ビジョンから始める
2017/05/10
びりかん式経営では、社長も含めた、社員一人一人の「個人ビジョン」を描くことから経営が始まります。
多くの企業では「会社としての売上・利益目標」がまず決められ、次に「各部署のノルマ」が決められ、そして「社員一人一人のノルマ」が決まっていくというスタイルが採用されているかと思います。
しかし、このプロセスはどうしても「押しつけられた目標」となり「やらされ感」を生じさせ「受身的姿勢」を強めてしまいます。
びりかん式経営では、社員一人一人が「どんな人生を実現したいか?」という個人ビジョンを描くところから始まります。
一人一人の社員が「年に2回は海外旅行に行きたい」「年収は800万円以上欲しい」「仕事内容としては、営業に専念しているのがよい」といったことを描いていきます。そして、本人が「うん!これはホントに実現したい!」と思えるものであることをとても大切にします。
そして「自分が理想とする一週間はどのようなものか?」という具体的なものに落とし込んでいきます。そうすると「週休3日で、月収40万円にするには、毎週4日間の稼働で10万円の利益を出すようにしないといけない」といったことが可視化されていきます。
「うん!これを実現したい!」という本物の気持ち(モチベーション)が湧き、「この実現のためなら頑張りたい!」と一人一人が本当に思える状態を作ることが肝要です。
やりたいことをやる。やりたくないことはやらない。
さて、全社員の個人ビジョンを持ち寄ると例えば、コンサルタント職のAさんは「月に4件の案件をやっている状態」が望ましく、営業職のBさんは「Aさんに月6件やってもらっている状態」が望ましい、などといったことが起こります。
こういった場合Aさんにとっては「月6件の仕事をする」ということは「やりたくないこと」です。忙しいのは嫌だとか、そこまで給料が欲しいわけじゃないとか、理由は何であれ、当人が「やりたくない」のであれば、それを尊重します。
一方で、営業職のBさんからすると、Aさんに月6件の仕事をしてもらわないと、自分の希望の年収に届かない。これはこれで困ったことです。こうした場合には「Aさんを口説き落として、6件やる素晴らしさに共感してもらう」とか「単価を上げてAさんが4件しかやらない状態でも希望年収に届くようにする」とか「Aさんの
コンサルティング以外の売り物を探してきて、それを売る」とかってことを考えるようにします。
なお、びりかん式経営では副業(複業)もOKなので、「自社以外の収入で、希望年収に届くようにする」ということも選択肢になります。
本人がやりたいこと、例えば「月収50万円になりたい」ということが、本人がやりたいことであれば、それはやればよいことです。一方で「やりたくないこと」はやらなくてよい。このシンプルな原則を大切にしています。
給料も働く場所も、働く量も自分で決める
つまり、自分の年収をどれくらいにするのか。どれくらいの単価にして、どれくらいの時間働くのか。その場所は、どこにするのか。これらを、一人一人の社員がすべて自分で決めていきます。
そして仕事のほとんどはチームでやっていきますので、チームメンバーが出来るだけ納得のいくように対話しながら決めていきます。
また「週3日の仕事で月収60万円でいたい」ということも、個人で決めますから、必然的に時給というか、生産性みたいなものも自分で決めることになります。
週3日、月で12日の稼働で月収60万ということで、日給5万円ということです。この金額を最終的に決めるのは「お客様」です。(チーム内の分配方法については後述します)
お客様が「あなたの1日に5万円払う価値がある」と思っていれば日給5万円になりますし、「あなたの1日に払うとしたら1万円が妥当なところです」となれば、本人が希望しようと日給5万円にはなりません。そういう意味で、びりかん式経営は徹底した顧客志向とも言えます。
こういった「自分はお客様からどれだけいただける実力があるか」ということも理解したうえで、自分の時給を高めるように勉強をしたり、トレーニングをしたりするのも含めて「やりたいことをやる。やりたくないことはやらない」であり「給料も働く場所も時間も自分で決める」であるということです。