中小企業で社長ばかりが忙しい状況をどう卒業するか?

■社長ばかりが忙しい・・・

社長ばかり忙しく働くことになっているのは、中堅中小企業ではよくある事象です。圧倒的に社長が優秀で情熱もあり、逆に社長が手を抜いたらすぐに会社が傾いてしまう。そんな風になっている中堅・中小企業は多々あります。

「会社を大きくしたら、もう少しラクになるはずと思っていたのにな」というような声もよくお聞きします。

創業社長の場合特になのですが、タイプやポジションについてそこまで深くは探求せずに仕事を頑張って会社が大きくなってしまうと、自分で生み出した状況に自分で苦しむようなことにもなってしまいます。

■社長の4段階

【エースで4番】 創業期に、数名から始めて会社が大きくなっていく場合には、野球で例えると、社長はまさにエースで4番、大黒柱として大車輪の活躍をして会社を引っ張っていきます。だからこそ事業は軌道に乗り、会社としてひとまずの成功を収められるのですね。

【監督】 会社の規模が大きくなってくると、全ての仕事を自分でコントロールすることが難しくなってきます。5名程度であれば、全てを把握しながら進めていけますが、10名を超えてくるとだんだんと難しくなってくる。そうなると「監督」にシフトしてくる必要が出てきます。

監督となってくると、自分で活躍すればいいということではなくて、言葉で、コミュニケーションで、戦略で、選手(社員)たちをいかに活躍させていくかという仕事に変わってきます。

現場でエースで4番をやっているのが楽しい人にとっては、つらい仕事になってきたりもします。もともと監督業をやりたくて社長になった人からすれば「まさに社長業」という感じがしてくるフェーズでもあります。

【球団社長】 さらに会社が大きくなってくると、現場の監督もやっていられなくなったりもします。球団社長のポジションまで来ると、ビジネスの仕方が全然変わってきてしまいます。現場は優勝のために頑張っていますが、球団社長からすると優勝したら選手の年俸が上がってしまう。だから、誰の首を切るか?とかを考えないといけなくなってきます。

選手や監督としてやっていきたかった人からすれば全く別次元の仕事になってきます。

【球団オーナー】 この状態は、株主として君臨して、不労所得を得られるような状態です。極端に言えば、「野球」というものにほとんど興味がなくても、優秀な球団社長と監督さえ雇えていれば、自分は何もしなくてもいい、というような状態であり、ある意味では「経営する楽しさ・充実感」のようなものはほとんどない状態です。

少なくとも「社長ばかりが忙しい」という状況を卒業するには、社長がエースで4番という状況を卒業し、監督業にシフトしていくことが求められます。実際に、エースで4番を引退し、監督業に専念していった事例を一つご紹介します。

■支援先事例~あるマーケティング企業

抜群の嗅覚とスピード感で会社を大きくしてきた社長でしたが、規模が大きくなり自分一人で頑張る限界を感じ、我々のところにご相談にいらっしゃいました。

その社長が取り組んだことは、一つは「会議に出ない」ということでした。それまでは、広告作成、商品開発、全ての領域の会議に出て、しっかりと指示を出し、管理をしていました。しかし、それではいつまで経っても社員の「社長頼み」の態度が変化しないので、自分自身は会議には出ないようにしました。

ほぼ同時に、社長+社員という二階層だった組織体制を、社長+課長+社員という三階層に変更し、課長たちに自分たちで考えて判断するように求めるようになりました。

始めたころは、正直すんなりとは上手くいきませんでした。課長達も、自分達に託されたプレッシャーもあり、どうしても判断を社長に仰いでしまうことが続き、社長としても、ついつい口を出してしまうこともあり、なかなか変化が進まなかった・・・というよりも一時的には状況は悪化したかのようなところもありました。

それでも「社長の力ではなく、組織の力で勝てる会社にする」というビジョンだけは揺るがずに持ち続け、判断を求められても「自分達で考えて決めて」と返すように心がけていきました。同時に、管理職研修も実施し「自分達でゴールを考える」「課長達で、担当部署を超えて全体を考える」ということを、粘り強くやっていきました。

1年も続けていくと、明らかに様子が変わってきました。課長達の主体性も高まり、判断の制度も高まり、社長としても安心して任せられるようになってきました。時間が浮いてきたので、より長期的な戦略を検討したり、組織作りについてより深い探求をする時間を取るようになっていきました。また「任せられている」という信頼感や責任感から、さらに課長達は、自分達でどんどんと会社を運営していくようになりました。

この難しい権限移譲を進めていったことも奏功し、5年連続増収を達成し、今なお、より組織力全体を高めるように経営努力を続けられています。

■エースで4番を辞める難しさ

実際に多くの企業を支援してきて感じることは「エースで4番を辞めることの難しさ」です。スポーツ選手であれば、加齢とともに肉体的な限界を迎え自然とパフォーマンスが落ちてきますが、ビジネスパーソンはそうはいきません。むしろ経験を積んで、どんどんとパフォーマンスが上がってしまうところがあります。

そういった中で、トップダウンの指示命令をしていけば、一定の成果は得られるのです。むしろリスクは少ない。しかし、どうしても「組織力で勝つ」方が「一人のカリスマで勝つ」よりも強いことが多いため、一人で頑張ることの限界はあります。

社長依存から脱皮するためには、一時的な混乱、一時的な業績低下のリスクを受け容れなければいけないところがあります。

しかし、この難しさに正面から向き合って乗り越えたときに、明らかに組織はパワーアップします。社員も成功体験を積み、どんどん頼もしくなっていくのです。

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