社員は自分が市場原理の一部であることを知らない
2018/05/02
[2018/5/2 メルマガ配信記事:担当 森川圭]
出典:写真AC
こんにちは。株式会社びりかん、組織コンサルタントの森川です。
社長やマネージャが社員と接していると、仕事に対する意識の違いに戸惑うことがあるかと思います。
指導をする中で社員から、「社長や上司はもっと努力しろ、成長しろというけど、給与分はちゃんと働いているのに、なんでそんなに言うのか」のようなことを言われて唖然としたことはないでしょうか。
こういった社員の意識を変えるには、どういうアプローチが必要なのか?を今回はお話したいと思います。
会社と社員の温度差はなぜ生じるか?
こういった会社と社員との温度差はなぜ生じるのでしょうか。
社員は、
- 現状維持で問題ないと思っている
- 現状維持のための努力はしている
- だから、必要以上の努力は不要、成長も不要
と思っているが一方で、会社は、
- 現状維持では生き残れない
- 技術進歩や競合他社に負けないよう、常に成長する必要がある
と考えているので、そもそもの前提からズレが生じています。
なのでまずは社員に「なぜ現状維持ではダメなのか」を知ってもらう必要があります。
社員に「なぜ現状維持がダメなのか」を理解してもらう
実は、多くの社員は「市場原理」を理解していません。
・自社の商品が売れるかどうかは市場原理により決定される。だから、お客様に「選ばれ続ける」良い商品を提供する必要がある。
↓
・その売上の一部が自分の給料として配分されている。
この当然の流れを認識しておらず、ましてやその中に自分も入っているとは思ってもいません。
仮に市場原理自体は理解していても、なぜか自分の給料だけは市場原理の外にあるとすら考えています。
自分の給料がどこから出ているか?について、ぼんやりと「会社のお金から出ている」くらいの認識であることが普通です。(恥ずかしながら私自身、 新卒で入った会社にいた頃はそれくらいの認識でした)
会社はこの市場原理の中で生き残り続けるために、社員に「今日、良い商品を提供する」のはもちろん、「明日もお客様に選ばれるよう、常に努力・進歩して欲しい」と期待していること。まずはこれを社員に理解してもらう必要があります。
社員のニーズと会社のニーズを合致させる
次に必要なのは会社のニーズと社員のニーズを合致させることです。
先の「市場原理の理解」と「社員に努力・進歩を求めること」はあくまで会社側のニーズです。それだけでは社員は動かないので、会社のニーズと社員のニーズを合致させましょう。
そもそもなぜ、社員は会社員という職業を選んだのか?家業を継ぐでもなく起業をするでもなく、会社員を選んだのにはちゃんと理由があります。
それは会社員という立場が「経済的に安定している=安心できる」からに他なりません。
社員のニーズは「常に経済的に安定していること」です。この社員のニーズと、会社のニーズを合致させれば良いのです。
会社の期待に応え続けられることが、社員の将来に渡っての安心に繋がる
会社が社員に期待するのは「今日、良い商品を提供する」のはもちろん、「明日もお客様に選ばれるよう、常に努力をして欲しい」と思っていること。
それが会社の存続、発展に繋がるから、会社は社員に努力や成長を期待します。そして、それができる社員は会社に必要とされ続けるので、社員自身が求める「経済的な安定」はより盤石になります。
それだけでなく、もしも今の会社がダメになっても、仮に会社を気に入らなくなっても、他で必要とされるほどの人材であれば、転職も容易ですから、社員自身はより安心できるでしょう。
なので社員の意識を変えるには、
- 自社の商品が売れるかどうかは市場原理により決定される。だから、お客様に「選ばれ続ける」良い商品を提供する必要がある。
- その売上の一部が自分の給料として配分されている。
- 会社の期待する常に努力・進歩する姿勢が会社の求めるものであり、ひいては社員自身の経済的な安定をより強固にできる。
以上の点を繰り返し伝えていくと良いでしょう。