COO代行信國大輔のCOO代行実践録

支援実績100社以上、上場成功実績3社、ベンチャー・中小企業専門のCOO代行が、事業推進や組織体制構築、新規事業企画、プロジェクトマネジメント、新規採用のコツ、社員のモチベーションアップ、マネージャ育成・チームビルディングなどあらゆる経営課題の実践的な企業経営ノウハウを解説。

びりかん式経営その2:自営業と会社員のいいとこどり(自由と保険)

      2017/05/10

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前回の記事で書いたように、びりかん式経営では、よりストレートに「人びとの幸せ」を目的変数として経営を行います。

このような「経営の目的」にした場合、社員はおどろくほど主体的に、責任感を持って働き始めます。そうすると、社長は「管理する」「ケツをたたく」といった煩わしい仕事から解放されます。

社員は、自分がより多くの年収を望めば、勝手に自分から勉強してスキルを伸ばし始めます。給料が減らないように、自分の生活を守る為にもお客様を大切にします。

「社員はちゃんと仕事しているのか?」とソワソワ不安になる必要がないのです。(ただし、社員が望む以上の売上・利益・仕事量を強制的にやらせることはできません)

一方で、社員も管理から解放されます。「こんなの意味あるのかな?」と無駄に感じることが多いのは、報告業務ではないでしょうか?

社内報告資料を作る。報告会議を行う。そんな時間があるなら、お客様のために使いたいのに。。。これは「上司が品質責任を負う」というヒエラルキー型組織の宿命ですが、びりかん式経営にはこういった無駄はありません。

自分の判断で責任をもって仕事をする。不安がある場合や、相談したい場合はもちろん先輩や仲間に相談する。それも自分の判断で進めていく。だから、無駄な間接業務、報告業務といったものがありません。

働く時間帯も場所も自由ですから、夜型の人は家で夜中に仕事をしてもいいし、昼型の人は昼にカフェで仕事をしてもいいのです。(ただし、顧客満足が低下し、失注し、減給となる、などのリスクは自分で負う必要があります)

びりかん式経営は、とても簡単に言うと「自営業の集団」のようなところがあります。自営業であれば、働く量も、働く場所も、どんな単価で仕事をする/できるかも、全て自分で選べる自由があり、責任があります。

しかし、一方で、自営業にはリスクがあります。最大のリスクは、売上が立たないこと。収入がなくなってしまうことです。会社員のいいところは、例え会社が赤字になろうと、いきなり給料がゼロになることはないということです。

この安心感があるからこそ、会社員という働きかたには人気があるのでしょう。(もし収入の保証があるなら、独立したいという人は大勢いるのではないでしょうか)

びりかん式経営は、この自営業の自由さと、会社員の安心感のいいとこどりをしようとするものです。仕組みは単純です。例えば、社員10名で、それぞれ会社の口座に「保険金」をプールしておきます。

例えば、一人100万円づつ出して、会社全体として1000万円の保険金がある状態です。こうしておいて、例えば「月収30万円の社員」が、7月は赤字で20万円しか稼げない、となっても給与を減らさずに30万円支払うことができます。

そして、翌月40万円を稼ぐことが出来たら、自分の使った分の“保険金”を、全体の口座に戻します。要は、会社は保険組合、共同組合として存在し、機能するのです。

厳しい時には「みんなで出し合ってくれたお金」が支えてくれて、余裕があるときには「誰かが困ったときに支えられるように」お金を拠出しておく。とても単純ですが、パワフルな仕組みです。

 - 社員も社長も幸せな次世代組織(セムコスタイル、ホラクラシー、サーバントリーダーシップ、ネットワーク型、ノマド)